転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


429 もしかしたら転移魔法じゃないのかもしれないんだって



「まったく、いい歳をしてこのような子供じみた事を。おぬしは何を考えておるのだ」

 ロルフさんはね、お爺さん司祭様をちょこっとだけびっくりさせようって思ってたんだって。

 でもその内容が今じゃだぁれも使えないって思われてる転移魔法だったから、そんな大事な情報をいたずらに使うんじゃないって怒られてるんだ。

「それに先ほどの口ぶりからすると、錬金術のギルドマスターも知っておったのであろう? ならばこの馬鹿を止めぬか!」

「いえ、この方と私の立場をお考え下さい。解っていたとしても、止める事などできませんよ」

「それは解るが……」

「司祭様」

「どうしたのかな、ルディーン君」

「あのね、ないしょにしててごめんなさい」

 そんな様子を僕たちは見てたんだけど、そしたら今度はバーリマンさんまで怒られ始めちゃったんだよね。

 だから僕も怒られるんじゃないかって思って、お爺さん司祭様にごめんなさいしたんだ。

 でもね、お爺さん司祭様は謝らなくってもいいんだよって。

「君はこやつから転移魔法の事を誰にも話すではないぞと言われておったのであろう? ならばよくぞわしにも話さなかったなとほめる事はあっても、叱るような事はせぬよ」

「そうなの?」

「うむ。だからルディーン君は謝る必要などないのだ」

 お爺さん司祭様はね、僕の頭をなでながらそう言ったんだ。

 でもね、ロルフさんの事は簡単に許してくれなかったんだよ。

 それからず〜っと怒られてたもんだから、最後にはロルフさん、すっごくしょぼんってしちゃったんだ。


「ところでヴァルトよ。ルディーン君が使う転移魔法とはどのようなものなのだ? おぬしの事だ、使えぬとしてもある程度の考察はしておるのだろう?」

 お爺さん司祭様はまだちょっと怒ってるみたいだけど、ず〜っとこんなことしてる訳にはいかないでしょ?

 だからロルフさんに、僕が使ってるジャンプの魔法の事を聞いたんだよね。

「うむ。今解っていることを書き出して、一応考察らしいものはした。じゃがな、考察は考察じゃからのぉ。事実とは限らぬぞ」

 ロルフさんはそう言うと、お爺さん司祭様にジャンプの魔法のお話を始めたんだ。

「ルディーン君の使う転移魔法はジャンプと言うらしいのじゃが、その呪文の意味から考えるにこの魔法は文献に残されている転移魔法ではなく、文字通り印をつけた場所へと跳躍する魔法のようじゃ」

 ロルフさんはね、いろんな本とかを読んで調べた転移魔法の事を教えてくれたんだよ。

 それによると昔あったって言う転移魔法は、僕が使ってるジャンプと違って何人かがいっぺんに別のとこに行けるものだったんだってさ。

「何分古い書物に書かれておるものじゃから本当に正しいのかは解らぬのじゃが、どうやら魔王と勇者がいたころにあったという転移の魔法は、複数のものが同時に別の場所へと転移できたようなのじゃ」

「複数同時にだと?」

「うむ。わしが見つけられたのは勇者が使ったとされるものと、その勇者と共に旅をした大魔法使いが使ったとされるものなのじゃが、そのどちらも転移できるのは自分一人だけではないようじゃ」

 ロルフさんが言うにはね、勇者様と大魔法使い様が使った魔法は違うやつみたいなんだよ?

 でもね、そのどっちも仲間と一緒に転移できる魔法だったんだってさ。

「わしが見つけた魔大陸スランテーレが封印される前の書物に記載された内容によると、その二つの内、勇者が使う転移魔法は他ではあまり見られぬものだったようじゃ」

「ふむ。ならばそちらは神から与えられた力によるものと考えられるのぉ」

「わしもそう思っておる。じゃがな、転移の姿自体は、どうやら勇者の使っていたものの方が、ルディーン君が使うジャンプに近いのじゃよ」

 ロルフさんが言うにはね、勇者様は転移する時にその場で消えちゃうらしいんだけど、大魔法使い様が使ってたのは何にもないとこに穴が開いて、そこをくぐって移動する魔法だったんだって。

「もし大魔法使い様が使っておったものが失われた転移魔法だとすると、ルディーン君の魔法は転移魔法ではないという事になるのじゃ」

「だが、実際にルディーン君は先ほど転移して見せたではないか。これについて、ヴァルトはどう考えておるのだ?」

「それに関しては先ほども申したであろう。ルディーン君が使っておるのは転移ではなく跳躍であると」

 ロルフさんはね、別の魔法を例に挙げてその違いを教えてくれたんだ。

「サーチと言う魔法があるじゃろう? あれはたとえ壁の向こうであっても、そこに生き物がおるかどうかが解るな」

「うむ。して、それがルディーン君の魔法とどうつながるのだ?」

「先ほども話した通り、サーチはたとえ間に障害物があったとしてもそれを通り抜けてしまう。これがもし魔法の性質だと考えた場合、魔法の行使には間何があったとしてもその発動の妨げにはならぬと考えられるのじゃよ」

 攻撃魔法とかはどっかに当たるとそこで止まっちゃうけど、魔法の中には間になんかがあってもそのまんま通り抜けちゃうのがあるでしょ?

 僕が使ってるジャンプも、それとおんなじなんじゃないかってロルフさんは考えたみたい。

「ここで先ほどの話に戻るのじゃが、ルディーン君が使う魔法の湯門はジャンプ。すなわち跳躍じゃ。とすると」

「おお、なるほど。ルディーン君は一見自由に転移しているように見える。だがおぬしは一瞬と思えるほどの高速で移動しているだけで、転移とは違うものだというのじゃな?」

 僕ね、転移魔法ってどっかに一瞬で飛んでっちゃえる魔法の事だと思ってたんだよ?

 でもロルフさんは違うんじゃないかなって言うんだ。

「文献によると勇者様たちが使っておった魔法は、形こそ違えど、どちらも任意の場所へと転移することができたそうじゃ。しかしルディー君が使うジャンプは目印がある場所にしか行けぬ。じゃから厳密に言うとこの魔法は失われたと言われる転移魔法ではなく、ただ目印の場所へと飛んで行く似て異なる魔法なのではないかと考えたのじゃ」

「そう考えると、確かに転移ではなく移動魔法と呼んだ方がしっくりくるのぉ」

 そう言えばテレポートやゲートの魔法って、いっぺん行った事があるとこだったらどこでも好きなとこに飛んでけるんだよね。

 それにこのジャンプって魔法、ドラゴン&マジック・オンラインの時も転移魔法じゃなくって帰還魔法って言われてたっけ。

 って事はもしかして、ロルフさんが言ってることが正しいのかも?

 ホントはどっちがあってるのかなんて女神さまに聞かないと解んないんだけど、僕は何となくロルフさんが言ってる事があってるんじゃないかなぁって思ったんだ。


 あれ? なぜかジャンプの魔法の考察だけで一話終わってしまったw

 因みにですが、最後にルディーン君が思い出した通り、ジャンプは帰還魔法だったりします。

 なので一人しか飛べませんが、その代わりゲーム時代は数時間魔法使いのレベル上げをするだけで(高レベルになってからなら傭兵NPCによるパワーレベリングを使ってものの数分で)習得できたんですよね。

 なにせこの手の魔法が無いと、MMOのようなゲームは移動時間がかかりすぎてどうしようもなくなりますからね。


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